立派

【りっぱ】形容動詞

使い分けの視点

「立派」は評価する側の位置まで漏らすため、人に向けると年長者や教師の響きを帯びます。「堂々たる」「威風」は外から見える姿に、「堅実な」「一本筋の通った」は積み重ねた行為に焦点を当てます。褒める権限が誰にあるのかを確かめ、物なら規模や品格、人なら時間をかけて得た信頼を示します。

同義語

同品詞の類義語

堂々たる文芸的
威風のある文芸的
頼もしい
堅実な

類義句

同品詞の慣用的言い換え

一角の人物文芸的
恥じるところのない文芸的
頭が下がる

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

大樹のような文芸的
屹立する山みたいに文芸的
城の石垣のような文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

堂々と
胸を張ってcolloquial

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

背筋が伸びる
貫禄を帯びる文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

威風文芸的
貫禄

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

非の打ち所のない
背中で語るcolloquial
一本筋の通ったcolloquial

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

褒める者の高さエッセイ関連

例文: 若者を褒める者の高さに気づき、老教師は隣の椅子へ腰を下ろした。

誰が誰に向けて言えるか——褒め言葉に残る上下の向き

「立派になったね」と言える相手は、かなり限られています。年下、教え子、久しぶりに会った甥。逆向きにして、若い社員が役員に向かって同じ言葉を投げれば、褒め言葉の形をしたまま関係を壊す。指している内容は同じ肯定で、敬語の形も変えていないのに、方向を反転させただけで使えなくなる。敬語であれば上下の向きは活用や語形に現れますが、こちらは形に一切出ないまま向きだけが決まっている。しかも辞書の語義欄には、この向きは書かれていないことが多い。意味ではなく使用条件の側に沈んでいるからでしょう。

世代の偏りもあります。「立派な大人になりなさい」「立派な社会人」——並ぶ文脈は教育と訓戒に寄っている。子ども同士の会話では、まず出てきません。同じ場面で使われる褒め語としては「すごい」「かっこいい」のほうがずっと手前にある。とすると、この形容動詞は話し手を年長者の位置に自動的に置いてしまう語だということになります。褒めているのに、褒めた側の年齢と権限のほうが先に読み取られてしまう。評価の内容ではなく、評価を下せる立場にいるという事実のほうが、口にした瞬間に漏れる語です。

ところが対象を人から物へ移すと、この説教臭がきれいに消えます。立派な蔵、立派な装丁、立派な松。ここには上下関係も訓戒もなく、規模と品格の素直な評価だけが残る。同じ語なのに、人に向けたときだけ余計な荷物が付いてくる。とすると荷物の出どころは語そのものではなく、人を評価するという行為の側にあるのかもしれません。人物評価はもともと権限を含む行為で、その権限を隠しにくい語と隠しやすい語がある。そう言い直すと、語の性質だと思っていたものの半分は、用法の側の問題だったことになります。半分だけです。物に使うときも、話し手がやや年長に響く感触はまだ残る。

語の来歴のほうは、実ははっきりしません。漢字表記は当て字と見られており、由来については複数の説があって定説を見ないようです。歴史に足場を求めれば用法の非対称も説明できるかと期待したのですが、そこは分からないままにしておくのが正直だと思います。代わりに確かなのは、褒め言葉の入れ替わりが速いという事実のほうです。ある世代の標準的な賞賛が、次の世代には古風な響きに変わる。この語は現在、日常会話の中心からはやや後退した位置にいる。後退したぶんだけ、使えば時代や世代の印になる。

書き手にとっては、その後退が使い道になります。現代を舞台にした小説で誰かにこの語を言わせれば、その人物は年長か、あるいは古風な言葉遣いを選ぶ人物として読まれる。時代物、教師の訓話、職人の口ぶりでは逆に自然に収まります。若い人物に言わせたいなら、照れか引用の合図を一枚挟むと通る——祖父の言い方を借りれば、と前置きさせるだけで、古さは人物の欠点ではなく引用符に変わります。摩耗した褒め言葉は、褒める機能を落とすかわりに、話者を測る目盛りになる。その目盛りを承知で使うかどうかだけの話です。

文: hakadoru.ai 編集部

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