想像する

【そうぞうする】動詞

使い分けの視点

「想像する」は、現実の手掛かりから像を組み立てる動きに向きます。自由に遊ぶ「空想する」、願望へ沈む「夢想する」と分け、輪郭、音、欠けた細部のいずれかを置くと、人物の頭に生まれた像がより具体的になります。

同義語

同品詞の類義語

思い描く
空想する
夢想する文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

頭に浮かべるcolloquial
胸に描く文芸的
脳裏に浮かぶ

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

スクリーンに映すような
物語を紡ぐような文芸的
夢を覗くような文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

漠然と
頭の中でcolloquial
ありありと文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

幻想文芸的
イメージcolloquial
空想

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

心の目で見る文芸的
筆を走らせる文芸的
夢を膨らませる

関連語を探す

語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

顔だけ欠けた帰郷の姿エッセイ関連

例文: 顔だけ欠けた帰郷の姿を思い浮かべ、彼は五年ぶりの渡し舟に乗った。

粗い像が先に届く——符号化から見た「思い描く」

回線が細かった時代のウェブでは、画像がまず粗い格子として現れ、少しずつ細部が埋まっていきました。プログレッシブ方式と呼ばれる符号化で、低い周波数成分——大づかみの明暗と配置——を先に送り、高い周波数成分をあとから重ねます。全体の輪郭が先で、質感が後。読者が文章から場面を立ち上げるときの順序も、しばしばこれに似た形をとります。最初の数行で部屋の広さと明るさが決まり、そのあとに机の木目や皿の縁の欠けが乗る。順序が逆になった文章、つまり細部から入って全体像を最後に出す文章が読みにくいのは、受け取り側が像を保持する場所を用意できないためだと考えられます。

ただし、この対応はすぐ壊れます。プログレッシブ画像には確定した最終形があり、送信が完了すれば必ずそこへ収束する。頭の中の像には収束先がありません。細部を足しているうちに、全体の構図のほうが書き換わってしまう。むしろ近いのは探索です。有限個の候補を並行して保持し、有望なものだけを残して先へ展開していく、ビームサーチのような手続き。保持できる候補の幅が狭ければ、最初に思いついた一本に最後まで引きずられます。書き出しの一案で満足したときに凡庸な場面ができあがるのは、幅を一に固定したまま深さだけを伸ばした結果だと言い換えられます。

記憶の側から見ると、別の概念が使えます。人は情景を丸ごと保存していません。要点だけを残し、呼び出すたびに残りを補完する。非可逆圧縮です。可逆圧縮なら復元結果は毎回同一ですが、非可逆では失われた成分が戻らない。しかも人の補完は決定的な手続きではないので、同じ元から毎回わずかに違うものが出てきます。復元のたびに劣化が積み重なる点も、同じ画像を再圧縮し続けたときの挙動に似ています。過去の場面を頭に浮かべる作業と、まだ存在しない場面を頭に浮かべる作業が、体験としては区別しにくい。その理由の一端はここにあると説明されることがあります。

文法の側にも、この動詞の緩さが出ています。目的語として名詞句も節も取れる。風景を思い描くこともできれば、誰かが何かをしている事態を思い描くこともできる。型が緩いのは便利ですが、書き手にとっては危険でもあります。何を渡したのかが文面から復元できないからです。名詞句を渡した場合、読者は静止した一枚を組み立てる。節を渡した場合、時間の幅を持った動きを組み立てる。この違いは大きいのに、動詞の形は同じままです。渡されなかった成分は読者が自分の在庫から補います。補完は必ず起きるので、問いは起きるかどうかではなく、どこまでを書き手が指定しておくかになります。

指定の仕方は難しくありません。粗さの水準をひとつ決めて明示する。輪郭までなのか、手触りまでなのか、音があるのか、色が付いているのか。人物が何かを頭に浮かべる場面を書くとき、その像に欠けている部分を一箇所だけ書いておくと、像全体の解像度が読者に伝わります。顔だけが思い出せない、声だけが再生できる、背景が白いまま。欠落を一点だけ指定すれば、残りの解像度は読者が推定してくれます。すべてを書くより、欠落を書くほうが安上がりです。符号化の設計と同じで、どこを削るかを決めることが、結果の品質を決めます。

文: hakadoru.ai 編集部

エディタで直接置換して執筆を加速

SaaS エディタではシソーラスの結果をワンクリックで本文に反映できます

無料で始める →