寛大

【かんだい】形容動詞

使い分けの視点

寛大は、咎める力を持つ側がその力を使わない人物評を短く圧縮します。先に置けば後の行為が例示となり、後に置けば段落の結論になります。硬く頻度の低い語なので、失敗を数えない、罰を軽くするなど具体を積み上げた一度きりの評言として使うと効きます。

同義語

同品詞の類義語

大らかな
度量のある
懐が深い文芸的
おおような文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

目こぼしのある文芸的
情状酌量の文芸的
咎め立てしない

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

大海原のような文芸的
大樹のような文芸的
春風のような文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

悠々と文芸的
あっさりとcolloquial
咎めずに文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

罪を不問にする文芸的
目をつぶるcolloquial
手加減を示す

体言的言い換え

用言を体言に変換

寛仁文芸的
温情文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

罰を軽くする
柔らかい沙汰の文芸的
重くない

関連語を探す

語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

一度きりの赦しエッセイ関連

例文: 厳格な校長が見せた一度きりの赦しを、生徒たちは卒業後も語り継いだ。

七字に畳み込まれる二十八字——ある形容動詞の計量的な肖像

同じ人物評を二通りに書いて、字数を数えるところから始めます。「彼は部下の失敗をいちいち咎め立てするような男ではなかった」で二十八字になります。「彼は寛大だった」なら七字です。伝わる中身はかなりの部分で重なるのに、長さはちょうど四分の一になります。漢語二字の形容動詞は、節ひとつ分の意味を一語に畳み込む圧縮装置として働きます。文章を数で観察する計量文体論の立場から見ると、この圧縮率の高さこそが、この語の性格をほとんど決めています。硬さも、改まった響きも、置き場所の好みも、たいていはここから説明がつきます。

圧縮はまず、文の密度を変えます。語彙密度とは、文を構成する語のうち名詞・動詞・形容詞といった内容語が占める割合のことで、この値が高い文は情報が詰まって硬く、低い文は助詞や補助動詞のあいだに余白ができて、話し言葉に近づきます。二十八字の言い換えには「いちいち」「ような」「ではなかった」と機能語の緩衝材がふんだんに挟まるのに対して、七字の文はほとんど内容語だけでできています。この語の居場所を思い浮かべてみると、恩赦の記事、人事の講評、歴史人物の評伝と、短く断定して次へ進む種類の文章が並びます。会話文に置けば、その硬さがそのまま浮く。「君は寛大だね」という台詞は、どこか儀礼的な、相手との距離を測ったような響きを帯びます。ただし浮くことは欠点ではありません。硬い語をあえて口にする人物という信号に、そのまま転用できるからです。

音も数えておきます。この語は四拍で、二拍目に撥音「ん」が入ります。撥音は音の流れをいったんせき止めるので、語頭側が重くなり、断定に向いた足取りが生まれます。同じ四拍でも、母音がなだらかに連なる和語の類義語とは歩調がまるで違います。文末に据えたとき、「寛大だった」は踵から着地するような音で終わります。評価の重さと音の重さが釣り合っている——この一致が、評言としての据わりの良さを下から支えていると考えられます。

文の長さの分布にも、この語は効きます。長い描写文の内部に埋め込むより、短文として単独で立てたときに強く働く語です。貸した金の返済を催促しない、部下の遅刻を数えていない、報告書の誤字を責めない——そうした行動の描写を数行かけて積み上げたあとに、八字の「所長は寛大だった」で閉じます。文長のばらつき、統計でいえば分散を意図的に大きくする書き方で、この語は短文側の駒として重宝します。置く順序にも測る価値があります。評言を先に出せば、以後の描写はその例示として読まれ、後に置けば、描写全体の結論として読まれます。同じ材料でも、一語の位置ひとつで段落の論理構造が反転するのです。

最後に頻度の話をします。情報理論には、めったに起きない出来事ほど、起きたときに運ぶ情報量が大きいという基本原理があります。語も同じで、ありふれた語は軽く読み流され、まれな語は読者の注意を止めます。この語は日常会話にはめったに現れない、使用頻度の低い側に属する語です。だからこそ一冊の中で三度も四度も繰り返せば、まれさの効き目は確実に目減りしていきます。とっておきの一箇所——たとえば、厳格で通してきた人物が最後に見せる一度きりの赦しの場面——のために温存するのが、計量的には理にかなった運用です。数えることは、感覚を機械に置き換える作業ではありません。硬いと感じた理由に裏付けを与える作業である。字数、拍、分散、頻度の四つの物差しは、推敲で迷ったときにだけ取り出せばいい道具です。

文: hakadoru.ai 編集部

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