堂々たる

【どうどうたる】連体詞

使い分けの視点

「立派な」は理由や行為にも広く掛かる日常的な評価ですが、「堂々たる」「威風堂々の」は体躯・風格・建物など、量感と改まった格を伴う名詞に向きます。「貫禄」は経験の蓄積、「威厳」は他者を従わせる重みです。決まり文句を避けたいときは、釣り合う意外な名詞を選びます。

同義語

同品詞の類義語

立派な
威風堂々の文芸的
威厳ある文芸的
見上げた文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

風格のある
貫禄のある
威厳に満ちた文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

まさに威風堂々の文芸的
他ならぬ威厳ある文芸的
誠に貫禄のある文芸的

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

堂々とエッセイ関連

例文: 彼女は予選最下位でも堂々と壇上へ進み、失敗の原因を説明した。

後ろに来る名詞が、ほとんど決まっている語

「たる」で連体修飾を作る型は、現代日本語ではほとんど新語を受け付けません。確たる、燦然たる、儼然たる、そして堂々たる。数え上げれば数十のオーダーで尽きてしまい、外来語や新造語をこの型に入れて造語しようとすると、まず失敗します。生産性が事実上ゼロに近い、閉じたクラス。文法史の説明では、この形は助詞と動詞の結合が縮まって固まったものとされることが多く、成立の時点で既に完成品だった形式です。にもかかわらず、生き残った個々の語の出現頻度は決して低くない。使われない型の中で、特定の語だけが安定して流通し続けている。

閉じたクラスの内部でも、頻度は均されません。語彙を頻度順に並べると上位の少数が使用量の大半を占めるという偏りの型はよく知られていますが、同じことがこの小さな集合の中でも起きています。確たる、燦然たる、そして見出しに立てた語のあたりまでは現役で、儼然たる、蕭々たるとなると、辞書には載っていても実際の文章ではまず出会わない。閉じた集合の内側で、さらに上位数語への集中が進む。生き残りの条件を推測すると、語基が単独でも使えるかどうかが効いていそうです。「確か」も「堂々と」も、この型を離れて自立している。型のほうが死にかけていても、語基が別の場所で息をしていれば、読者は意味を取り違えません。語基がこの型の中でしか呼吸していない語は、型ごと沈んでいく。閉じたクラスの語彙表は、そうやって少しずつ短くなってきました。

生き延びた語を計量的に眺めるときに面白いのは、語そのものの頻度より、後続する名詞の分布のほうです。この語の直後に来る語を集めれば、体躯、風格、態度、建物、行進といったあたりに強く集中する感覚があります。分布の広がりを情報量として測るなら、値はかなり低い。前の語を見た時点で、次に来る語の候補が数語まで絞られてしまう二語連鎖です。同じ漢字を重ねた二字の語基がこの型に集まる傾向も見えます。淡々、悠々、飄々。重ねた形そのものが書き言葉の格を運んでいて、型と語基が互いを呼び合っている。

左隣を見ても、事情は変わりません。直前に立つ語を思い浮かべると、実に、まことに、まさに、といった強調の副詞か、指示詞の「その」あたりへ収束していきます。前も後ろも数語で尽きる連鎖に挟まれていて、語は両側から締められている。共起を統計として扱う仕事では、対象語の左右にどれだけの種類の語が現れるかを数え、その多様性の大小そのものを指標に使うことがあります。左右ともに多様性の低い語は、文の中で自由に動けない。動けない語は辞書の記述が短くて済み——用例をいくつか挙げれば守備範囲が尽きてしまうので——そのぶん読者の予測も速く終わります。強調の副詞が前に立ちたがるのも、たぶん同じ事情の裏側です。予測の効きすぎる連鎖は、そのままでは印象が薄いので、話者が手前で補強を足したくなる。

ここで立ち止まりたくなります。偏りは語の意味に由来するのか、それとも使われる場面に由来するのか。反証になりそうなのが「立派な」で、意味はかなり近いのに後続名詞ははるかに散らばる。立派な家、立派な理由、立派な大人、立派な言い訳。同じ方向の評価を与える語でありながら、片方は何にでも掛かり、片方は限られた相手にしか掛からない。差は意味の中身ではなく、文体の位相にあると考えたほうがよさそうです。書き言葉の、それも改まった層にしか出てこない語は、その層で使われる名詞としか出会わない。共起の偏りは、語の性質というより語の居場所の狭さの反映でしょう。

副詞形と比べても、位相差ははっきりします。「堂々と」は日常会話に出てくる。堂々と歩く、堂々と言う、堂々と負ける。連体形のほうは、話し言葉ではまず耳にしない。同じ語基が、活用形の違いだけで別々の言語生活を送っている——閉じたクラスの語には、この種の分岐がしばしば起きます。

低い情報量には代償があります。読者が次の語をほぼ予測できるということは、読んだときに新しい情報がほとんど発生しないということでもある。堂々たる体躯、と書いたとき、読者の頭の中では二語がひとかたまりの決まり文句として処理され、その体躯がどんな形をしていたかは像を結ばない。ずらす手はあります。予測から外れた名詞を後ろに置けば、連鎖は決まり文句として処理されなくなり、読者はいったん立ち止まる。ただし外し方が大きすぎると、格の高い語と釣り合わずに滑稽になる。狭い居場所を持つ語を動かすときは、動かす距離そのものが設計の対象になります。

文: hakadoru.ai 編集部

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