つまり
【つまり】接続詞使い分けの視点
同じ対象を硬く言い直すなら「すなわち」、長い説明を短く畳むなら「要するに」「結論を言うと」が向きます。「煎じ詰めれば」「畢竟」は古風で重く、「まあ要は」は会話的です。要約は情報を必ず落とすため、何を省いたかが人物の理解や語り手の偏りとして現れる点を意識します。
同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
同じ対象を硬く言い直すなら「すなわち」、長い説明を短く畳むなら「要するに」「結論を言うと」が向きます。「煎じ詰めれば」「畢竟」は古風で重く、「まあ要は」は会話的です。要約は情報を必ず落とすため、何を省いたかが人物の理解や語り手の偏りとして現れる点を意識します。
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。
例文: 会議の要点を三行にまとめると、最後の一行だけが王都撤退を命じていた。
例文: 証人は同じ出来事を言い直すたび、窓を開けた人物だけを別の名に変えた。
文の頭から一語だけ削ってみます。「つまり彼は来ない」から先頭を落としても、残りは文として成り立つ。接続詞は文の必須成分ではないので、当然といえば当然です。ところが逆の操作をすると様子が変わる。この語を単独で発話しても、文にはならない。何かを要求したまま宙に浮きます。統語の上では随意的なのに、談話の上では義務的な項を持っている。しかも、その項は書かれた文の内側には存在しません。動詞が主語や目的語を要求するのとは違い、要求先が文の外にある。だから一文だけを取り出して文法的に分析しても、この語が何をしているかは原理的に見えません。文を単位にした記述からこぼれる語というものがあって、これはその代表格です。
分布を見ると、文頭が標準で、文中への挿入も許されます。読点で挟んで「彼は、つまり、来ない」と言える。受け口も広く、名詞句でも節でも受けられる。ここが近い語との差になります。「すなわち」は名詞句同士の同格に強く、節を受けさせると硬さが出る。「要するに」は要約を予告する語で、後続が短いことを先に約束してしまう。この語は受け口が広く、約束が緩い——だから使いやすく、使いやすいから濫用される。緩さは統語の自由度として現れますが、その自由度は書き手の側の負担を減らす方向にしか働かない。読み手は、受け取ったものが同格なのか要約なのか判じ物なのかを、後続を読んでから決めることになります。
言い換えの接続詞と呼ばれますが、実際に等価な言い換えが起きている例はそう多くありません。後ろに来る文は、前の文より短く、断定的になる傾向がある。等価であれば長さは変わらないはずです。実際には縮む。縮むということは、情報が落ちている。落としたうえで「同じことだ」と宣言するのがこの語の仕事で、これは統語の操作ではなく情報構造の操作です。何を捨てたかは書かれないまま、捨てた結果だけが残る。数式の変形にたとえるなら、途中式を消して答えだけを書き写す動作に近い。読者は検算のしようがない位置に置かれます。
落とすことは悪いのか。読者の負担は確実に減ります。長い説明のあとで短い一文が来れば、そこが要点として記憶される。説明の順序を組み立てるうえで、この機能は手放せません。ただし副作用が一つある。文頭にこれを置いた瞬間、直前の文が「言い足りなかったもの」に格下げされてしまう。一度なら整理に見えますが、地の文で繰り返すと、語り手が自分の書いた文をその都度取り消しているように読める。書き直しの跡を清書に残しているのと変わらない状態です。推敲で真っ先に削られる語がこれだという実感は、多くの書き手が持っているはずです。
話し言葉では、また別の働きをします。切り出しておいて、後続が前の内容とほとんど関係しないことがある。統語的には何も接続していない。それでも聞き手は待つ——接続詞の形をした音が、内容を持たないまま発話の順番を確保するからです。この空回りは、実際の会話ではありふれています。人物に喋らせるとき、要約できていない人ほどこの語を挟む、という形で書けば、理解力の描写を地の文で説明せずに済ませられる。接続詞は、接続していないときにいちばん多くを語ります。
文: hakadoru.ai 編集部
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