非常に
【ひじょうに】副詞使い分けの視点
強さだけでなく語りの温度を選びます。「極めて」「甚だ」は報告や硬質な地の文に、「とびきり」は人物の弾む声に似合います。「桁違いに」「段違いに」は比較の尺度を感じさせるため、何と比べているかが見える場面で使うと鮮明です。
同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
強さだけでなく語りの温度を選びます。「極めて」「甚だ」は報告や硬質な地の文に、「とびきり」は人物の弾む声に似合います。「桁違いに」「段違いに」は比較の尺度を感じさせるため、何と比べているかが見える場面で使うと鮮明です。
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。
例文: 境界の森はとても静かで、枝を踏む音さえ遠くへ響いた。
廊下の突き当たりに、緑地に白の看板が掛かっています。走る人と、開いた扉。あの表示に使われている二字と、論文の中で程度を示すあの副詞が、同じ語であることに気づくと、少し立ち止まることになる。避難のための扉と、程度の甚だしさ。両者を結ぶ線が、すぐには引けない。
漢文の構造で読めば「常に非ず」で、通常の状態から外れているという意味になります。非常時、非常事態、非常識。この系列はいずれも、基準となる状態を想定した上で、そこから外れていることを言っている。程度を表す成分は、もともとどこにも入っていない。にもかかわらず、現代の日常でこの語形に「に」が付いたものは、ほとんど専ら程度の強さを担う。どこかで橋が架かったわけです。橋の材料はおそらく、範囲を外れているという判断そのものでしょう。通常の幅を超えている、という言い方は、超えた方向を問わなければそのまま程度の言明になる。
同じ橋を渡った語は他にもあります。「たいへん」は大きな変事で、事態の重さを言っていた語が程度に転じた。「すごい」は本来ぞっとするような感じを表す語で、恐ろしさが強さの尺度に化けた。近年の「やばい」も同じ道を歩いているように見えます。程度副詞というのは、最初から程度副詞として生まれるより、程度以外のことを言っていた語が横滑りして作られ続けている——この供給の絶えなさのほうが、個々の語の変化より目を引きます。
供給のされ方には、もっと極端な例もあります。「とても」は、古くは打ち消しを伴って、とうてい〜できない、という言い方でしか使われなかったとされる。不可能を言うための語だったものが、否定を脱ぎ捨てて肯定側の強意に回った。否定の文脈でだけ生きる語が肯定側へ移るという現象自体は珍しくないようですが、移った後に元の縄張りをほとんど手放してしまう点は目を引きます。今この語形を打ち消しと組ませて使う人は、意識して古風に振る舞っているときくらいでしょう。程度副詞の供給源は、事態の重さ、恐ろしさ、常態からの逸脱、そして不可能性まで含んでいる。共通しているのは、どれも最初は程度の話をしていなかったという一点だけです。
なぜ絶えず新しいものが要るのか。強意の語は使われるほど強意でなくなるから、と説明されるのが普通です。摩耗説。ただ、この説明を当の語に当てはめてみると、少し合わない。摩耗した語は消えるはずですが、消えていない。むしろ現在では、会話からは退いた代わりに、論文や公文書や報告書に定着している。しかも書き言葉の中では、控えめで硬い響きすら持つ。同じ語が、片方の文体では強すぎ、もう片方では抑制的に感じられる。
ここで自分の観察を疑ってみます。会話から退いたのは摩耗のせいなのか。漢語がそもそも話し言葉に乗りにくいという一般的な事情のほうが、効いているのではないか。おそらく両方でしょう。摩耗が起きた語は消えるのではなく、文体の階層を移動して生き延びる。強さを失った分だけ、距離を得る。
だから地の文にこの語を置くと、強調しているつもりで温度が下がることがあります。「非常に寒い」と書かれた夜は、寒さの程度が伝わる代わりに、その寒さを外から測っている誰かが立ち上がる。逆に言えば、語り手をあえて計測者の位置に置きたいときには、この語ほど正確に効くものも少ない。強めたいのか、離れたいのか。選ぶ前に決めておくべきなのは、そちらのほうです。
文: hakadoru.ai 編集部
AIを使わずブラウザ内で完結する、無料の文章診断ツール。語尾連続・一文長偏り・漢字率など12項目をリアルタイムチェック。
テンション値を調整するだけで、シーンに合った擬音・オノマトペを生成。プリセットから選ぶことも可能。
フォームに貼り付けた文章を20字×20行の原稿用紙レイアウトPDFに組版してダウンロード。罫線・禁則・ノンブルはSaaS本体の組版エンジンと同一。完全ブラウザ処理・本文サーバー送信なし。
創作した名前の読みをかなで入力すると、音が近い既存語と読者の連想イメージを一覧化。同音語との衝突警告も。近傍探索はブラウザ内完結。