大変

【たいへん】副詞

使い分けの視点

程度を強める「非常に」は広い文脈になじみ、「極めて」は客観的・分析的な調子、「甚だ」は改まった評価の気配を帯びます。「とりわけ」は複数から一つを際立たせ、「格段に」は比較前との差を示す語です。強調だけで済ませず、結果や身体感覚を添えると程度が物語の因果へつながります。

同義語

同品詞の類義語

非常に
極めて文芸的
きわめて
甚だ文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

この上なく文芸的
並ならず文芸的
尋常でなく文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

とりわけ
格段に
目を見張るほど文芸的

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

少し面倒エッセイ関連

例文: 氷の洞窟に一週間閉じ込められた魔術師は、帰還するなり旅を少し面倒だったと笑った。

「大変だった」の空白を埋める——程度副詞の使い分け

人物が濡れた服で帰宅し、「大変だった」とだけ言う。台詞なら、その空白を表情や状況が埋めます。しかし地の文で「道中は大変だった」とまとめると、何が困難だったのか読者には残りにくい。「大変」は災難そのものを名詞的に示し、状態を評価し、さらに「大変よくできた」のように程度を強めます。便利さの裏で、原因、感覚、結果を一語へ畳みすぎる危険があります。

創作では、まず役割を判定します。「それは大変だ」なら困難への評価、「大変な騒ぎ」なら名詞の修飾、「大変美しい」なら程度副詞です。評価用法では話者の共感が入り、強調用法では必ずしも悪い意味になりません。「大変うれしい」と「大変苦しい」が両立するため、語だけから感情の正負は決められない。後続する形容詞や名詞が方向を指定します。

出来事を要約したい箇所では有効です。三日間の移動を細部まで描かず、「帰路は大変だった」で次の場面へ進める。ただし、その困難が後の選択を変えるなら、一つは具体を残したい。靴底が剥がれた、地図が濡れた、同行者と口をきかなくなった。物理的障害、情報損失、関係変化のどれかを置けば、要約が筋へ接続します。省略とは重要性を消すことではなく、代表例を選ぶことです。

台詞では人物差を作れます。何でも「大変」と呼ぶ人、深刻な事態ほど「少し面倒」と言う人、他者の苦労にだけ「それは大変でしたね」と応じる人。同じ語の頻度と向きが性格になります。災害や喪失に対する定型的な相づちは、誠実にも空疎にもなりうるため、間、視線、次の行動で支えたい。水を差し出す、作業を引き取るなどの行為があれば、共感は形容詞の外へ出ます。

推敲時には「大変」を検索し、強調、困難、相づちの三種へ分けると偏りが見えます。強調ばかりなら「非常に」へ替えるより、程度を示す結果へ書き換える選択がある。「大変速い」を「鐘が二度鳴る前に戻った」とすれば、世界固有の尺度が生まれます。場面単位の配分も考えたい。事件の最中に困難を列挙し、事後の台詞で初めて「大変だった」とまとめれば、語が総括になります。逆に冒頭で先に置けば、読者は何が起きるかを予告として待つ。自由間接話法で「これは大変だ」と差し込めば、地の文の速度を止めずに人物の判断を混ぜられます。ただし同じ危機で三人が順に「大変」と言えば、声が均一になる。冷静な人物は条件を数え、楽天家は面白がり、責任者だけが損失を見積もるなど、評価の語彙を役割へ合わせたい。さらに、危機の前後で意味を反転できます。準備中の「大変よくできた」は強い称賛、事故後の「大変なことになった」は事態評価です。同じ語を蝶番にして、平穏から混乱へ移る。ただし偶然の言葉遊びに見せないため、前の称賛が事故の原因に関わるなど因果を持たせたい。一方、人物が言葉を失った場面では、平凡な「大変だった」がかえって限界を示す。空白を残すのか埋めるのかを決めたとき、便利な副詞が場面の焦点になります。

文: hakadoru.ai 編集部

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