目ざとい

【めざとい】形容詞

使い分けの視点

「目ざとい」は、小さな違いを素早く見つける能力を、有能さにも抜け目なさにも傾けられる語です。評価は見つけた対象で決まります。「観察眼」は能力を名詞化し、「嗅ぎつける」は利得や秘密への執着を強めます。古い「眠りが浅い」の語義を使う場合は文脈で補います。

同義語

同品詞の類義語

抜け目のない
鋭い
目端が利く文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

わずかな綻びも見逃さない
一瞬で値踏みする
目配りが届く文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

餌を狙う猛禽のような文芸的
針の穴を見つける糸のような文芸的
昆虫の複眼のような文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

素早くcolloquial
抜け目なく
いち早く

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

見つけ出す
嗅ぎつけるcolloquial
察知する

体言的言い換え

用言を体言に変換

観察眼
目敏さ文芸的
機転

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

眉をわずかに動かす文芸的
目尻に光を宿す文芸的
小さく頷いて視線を戻す

関連語を探す

語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

寝覚めがよいエッセイ関連

例文: 寝覚めがよい番人だけが、夜半に一度鳴った扉の軋みを聞いていた。

眠りの浅さから、見つける速さへ

家の中で、いちばん先に起きてくる人がいます。廊下の軋み、雨戸を叩く風、階下の低い話し声。誰も起こしていないのに、その人だけが目を開ける。この性質を指す語として「目ざとい」を挙げる説明は、いまも国語辞典に残っています。ただ、そう書いてみて手が止まりました。現代の文章でこの意味の用例に出会った記憶が、ほとんどないのです。棚の隅の値札に気づく、人混みの中に知人を見つける、書類の数字の食い違いを一瞥で言い当てる——実際に流通しているのは、明らかにそちらのほうです。同じ一語の中に、生きている語義と、辞書の中でだけ息をしている語義とが同居している。

語の作りを崩すと、事情の一部は見えてきます。「ざとい」は「さとい」が連濁した形と考えられています。「さとい」は感覚や理解の鋭さを言う語で、賢さに寄る面と、敏感さに寄る面を併せ持っていた。だから目という器官にこれが付いたとき、覚めやすさも、見つけやすさも、等しく「目の鋭さ」の現れとして一語に収まった。似た造りに「耳ざとい」があり、こちらは物音より噂を早く聞きつける側へ寄っていった。同じ部品から出発した二語が、行き先を揃えなかったわけです。語構成が同じであることは、意味の運命が同じであることを少しも保証しない。

二つあった語義の片方が痩せていく現象は、意味の縮小として整理されます。ただ、この呼び名を貼っただけでは何も説明していない。使われなくなったから消えた、では循環です。むしろ支えていた生活のほうが動いたと考えたほうが腑に落ちます。雨戸の音で起きる家、夜中に何度も呼び起こされる暮らし、寝ずの番という役割——そうした場面が日常から退いた分だけ、寝起きの良さを一語で言い切る必要も薄れた。一方、視覚のほうを支える場面は増え続けています。棚、掲示、画面、通知。見つけるべき小さなものが身のまわりに増えるほど、見つける能力を名指す語の出番は増える。

もうひとつ、この語では評価の向きが動いています。「見つけるのが早い」だけなら中立のはずですが、実際に選ばれる目的語は、割引の札、他人の失点、こちらの落ち度といった、見つけてやや得をするものに偏りがちです。だから褒めているのか、抜け目のなさを軽く咎めているのか、文脈が決めることになる。良化と悪化のあいだで揺れている途中の語だと言えそうです。とはいえ悪い側に振り切ってもいない。「目ざとく気づいて手を貸してくれた」は、何の抵抗もなく書ける。

この揺れは、書き手にとっては幅として使えます。ある人物に「目ざとい」を割り当てると、読者はその人物が次に何を見つけるかを待ちはじめる。見つける対象を選ぶだけで、同じ一語が有能さにも狡さにも寄る。落ちた小銭か、相手の指の震えか、値札か。そして古いほうの語義も、まだ完全には死んでいません。夜中に真っ先に身を起こす人物を書くとき、その一語で説明を省ける可能性は残っている。ただし読者の半分が別の意味で受け取る危険は、書いた側が引き受けることになります。

文: hakadoru.ai 編集部

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