ならびに

【ならびに】接続詞

使い分けの視点

「および」は公的な並列、「また」「加えて」は文や項目を追加します。「かつ」「なおかつ」は二条件が同時に成り立つことを強調し、「ともに」は共同性を出します。「あわせて」は関連事項の一括、「それと同時に」は時間的併存です。場面の格式と並列の階層で選びます。

同義語

同品詞の類義語

および文芸的
また
かつ文芸的
あわせて

類義句

同品詞の慣用的言い換え

ともに文芸的
それと同時に

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

加えて
あわせて言うと
なおかつ文芸的

関連語を探す

語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

並列に階層を作るエッセイ関連

例文: 法務官は二組の証拠を別々に束ね、接続の違いだけで並列に階層を作った。

場の格を見積もるエッセイ関連

例文: 式辞を読む生徒は場の格を見積もる一方、最後の感謝だけは普段の言葉で恩師へ届けた。

燕尾服の接続詞をいつ着せるか

結婚式の招待状には、独特の語彙が保存されています。「ご来賓ならびにご親族の皆様」。日常会話では一生口にしないかもしれない語が、儀礼の文面では今も現役です。書き手にとって、こうした語は死語ではありません。特定の効果を持つ道具として、棚のいちばん高いところに置かれている。問題は、いつ手を伸ばすかです。

この語の本籍は法令文にあります。法制執務には、並列に階層があるときの使い分けの規則があり、小さな結合には「及び」を、それらを束ねる大きな結合には「並びに」を使う。「A及びB並びにC及びD」と書けば、AとBが一組、CとDが一組で、その二組が並んでいるという構造が読み取れます。この使い分けは公用文の用字用語の手引きにも受け継がれ、役所の文章では現在も守られています。接続詞そのものに階層を担わせる設計で、括弧を使えない法令の文章が生み出した、いわば入れ子の記法です。日常語の「と」が要素をフラットにしか並べられないのに対して、こちらは二階建てで並べられる。

音の長さも、この段差を支えています。仮名で書けば「と」と「や」は一拍、「および」は三拍、この語は四拍。格式が上がるにつれて、要素と要素のあいだに挟まる音が長くなっていきます。長い接続詞は、その位置で文をいったん立ち止まらせる。読点だけでは作れない間が、音の長さそのものから生まれます。式辞や告示のように音読を前提とした文章が重い並列語を好むのは、耳が構造を追いかける時間を確保できるからでもあるでしょう。逆に、緊迫した場面の地の文にこの四拍を落とせば、その一箇所だけ流れが遅くなります。速度を落としたくない場面では、一拍の助詞で繋ぐほうが安全です。並列の語を選ぶことは、格式を決めると同時に、その一文にどれだけの時間を使うかを決めることでもあります。

創作でまず役立つのは、作中に文書を登場させる場面です。辞令、判決文、契約書、式次第、案内状。こうした文書の地肌を書くとき、この語の有無がリアリティを左右します。日常語だけで書かれた判決文はどこか嘘くさく、逆に私的な手紙にこの語が一つ紛れていれば、書き手の職業や気の張りが説明なしに伝わる。要するに、文体の考証です。時代物の公文書なら候文や漢文訓読の層まで降りる必要がありますが、現代物であれば、公用文の語彙をひとつまみ振るだけで、文書の顔つきは整います。

台詞に使えば、儀礼の衣装をまとった人物ができます。式辞を読み上げる校長、格式を崩さない老執事、役所の言葉が私生活に染み出した公務員。地の文に落とせば、軽い皮肉としても働きます。冷蔵庫には麦茶ならびにプリンが冷えていた——家庭の情景に公文書の接続詞を着せる、この落差でユーモアが一滴出る。ただし、この手は一作に一度が限度でしょう。落差の芸は、反復した瞬間に芸でなくなります。逆に、堅い語彙は感情を隠す壁としても働きます。弔いの手続きを進める人物の視点で、事務の言葉だけを並べて悲しみを描く——語らないことで語る型では、この種の書式の語彙が壁の質感を作ってくれる。

もうひとつ、時代の目盛りとしての働きがあります。公用文を平易にする方向の見直しは近年も続いていて、重い漢語や込み入った並列は、読み手を選ぶという理由から避けられる傾向にあります。役所の文書が全体として柔らかくなれば、この語が帯びる格式は相対的に古びていく。つまり現代を舞台にした作品でこれを選ぶ人物は、書式の面で一世代前に立っていることになります。古い規程を守り抜く事務長、儀礼の文面だけは崩さない一族。書き手が狙わなくても、読者はそこに年代の目盛りを読み取ります。同じ語が、二十年前の原稿では単なる格式で、いまは人物の年齢や出自の情報として届く。語彙の格式は固定された物差しではなく、周囲が動けば位置のほうが変わるものです。

並列の語彙は「と」「や」「および」、そしてこの語と、格式の順に段をなしています。書き手の仕事は、文の内容にではなく、場面の格に合わせて段を選ぶことです。普段着の場面に燕尾服を着せれば滑稽になり、式典に普段着で臨めば書割が崩れる。滑稽が欲しいときにだけ、わざと段を間違える。段の選択は敬語の選択に似ていて、相手との距離だけでなく、その場の格を人物がどう見積もっているかを示します。見積もりの癖は、接続詞一つにも出る。衣装係の仕事に似ています。観客は普段その存在に気づかず、間違えたときだけ全員が気づきます。

文: hakadoru.ai 編集部

エディタで直接置換して執筆を加速

SaaS エディタではシソーラスの結果をワンクリックで本文に反映できます

無料で始める →