ついでに
【ついでに】接続詞使い分けの視点
主な行動に別の行動を重ねるなら「ことのついでに」「この機会に」、情報を補うなら「ちなみに」「なお」「申し添えると」が自然です。「あわせて」「それに合わせて」は並行や連動を示し、「余談ながら」「蛇足ながら」「余事ながら」は本筋から外れる自覚を帯びます。行動の順序と重要度を混同せず選びます。
同義語
同品詞の類義語
類義句
同品詞の慣用的言い換え
婉曲・強調変換
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
主な行動に別の行動を重ねるなら「ことのついでに」「この機会に」、情報を補うなら「ちなみに」「なお」「申し添えると」が自然です。「あわせて」「それに合わせて」は並行や連動を示し、「余談ながら」「蛇足ながら」「余事ながら」は本筋から外れる自覚を帯びます。行動の順序と重要度を混同せず選びます。
同品詞の類義語
同品詞の慣用的言い換え
ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)
下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。
例文: 母の手紙の追伸には、北の駅で赤い帽子の人を待てとだけ書かれていた。
例文: 会議の付け足しとして出た井戸の異音が、村を沈没から救う最重要の報告になった。
郵便局に用があって、その帰り道でパン屋に寄る。この二つを人に話すとき、たいていパン屋のほうが「ついでに」の側へ置かれます。時間としては後、重みとしては下。けれどその日、本当に食べたかったのはパンで、郵便物のほうが家を出るための口実だったかもしれない。それでも口から出るのは、パン屋を後ろに回した言い方です。出来事の順番を報告しているように見えて、そこで手渡されているのは、話し手が勝手に決めた重みの序列のほうです。聞き手はふつう、その申告を疑いません。疑う理由がないからで、行動の順番は外から検証できても、どちらが目的だったかは本人の申し出以外に確かめようがない。
古い形をたどると、この語は名詞の「序(ついで)」にさかのぼり、動詞「次ぐ」と同根とする説が広く採られています。もとの意味は並び順、序列。物事がどう連なっているかを指す語でした。そこから「折」「機会」の意味が育ちます。この移りゆきは飛躍に見えて、案外なだらかです。順番が回ってくることと、機会が訪れることは、実際の場面ではほとんど区別がつかない。列に並んでいれば、自分の番は順序であり、同時に機会でもある。「ついでがあれば伺います」の一句は、順番と時機が同じ一点で重なる位置に立っています。そこからさらに副詞のかたちへ固まると、時機ですらなくなり、主となる行為に付随する副次的な行為を導く働きへ寄っていく。
順序から機会へ、機会から付随へ——こう並べると、意味が痩せていく過程に見える。摩耗と呼びたくなります。ここで引っかかる。痩せてはいないのです。順序の情報は今も生きていて、この語の後ろに来るのは必ず後続の行為に限られる。先にパンを買っていたら、この言い方はできません。しかも前後を入れ替えると、報告そのものが別物になる。同じ午後の同じ二つの行動を、順番を逆にして述べれば、目的だった行為が付け足しの側へ移る。事実は動かないのに、主従だけが動く。消えたものは何もなく、そこへ「どちらが主か」という判断が上乗せされている。担う情報は軸を変えながら、むしろ増えたと言うべきです。
上乗せされたぶんだけ、この語は嘘をつけるようになりました。順番は外から観察できますが、主従は話し手の申告でしかない。手紙の追伸が似た働きをします。本文の外に置かれた数行は、形式の上では余りものですが、書き手がいちばん書きたかった一文がそこに落ちていることは珍しくない。会議の終わりに「ついでに一つ」と切り出される議題も同じで、軽い位置に置くこと自体が、その内容を審議の圧力から守っている。正面から議題に立てれば反対もされるが、余談の席に置かれたものは検討されないまま通過する。付け足しの席は、実のところ安全な席です。
だから登場人物にこの語を言わせると、その人物が何を主だと見なしているかが漏れます。訪ねる口実を探していた人間の「ついでに寄った」は、作中の相手が信じたとしても、読者には見えている。順番を語る顔で、順位を語っているからです。語り手がわざわざ主従を申告した、という事実そのものが、申告の必要があったことを示してしまう。扱いにくいのは、話し手が自分の申告を疑われうることに、たいてい気づいていない点にあります。
文: hakadoru.ai 編集部
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