舞う

【まう】動詞

使い分けの視点

「舞う」は人の旋回から花・雪・灰へ主体を広げ、美しさや意図を失っても、重力に抗う不規則な運動を残します。「踊る」は跳躍や拍、「飛び交う」は複数方向の往来、「旋回する」は軌道を明確にします。花吹雪の定型を重ねず、紙片や粉塵なら上昇・水平・落下の向きを補います。

同義語

同品詞の類義語

踊る
飛び交う
旋回する文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

宙を切る文芸的
風に乗る
踵を返す文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

蝶のような
花吹雪のような文芸的
羽根のように軽い文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

くるりとcolloquial
ひらひらとcolloquial
軽やかに文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

旋舞文芸的
乱舞文芸的
舞踏文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

宙に弧を描く文芸的
花弁を散らす文芸的
身を翻す文芸的

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

一度止まって落ちるエッセイ関連

例文: 炉から舞い上がった灰は、一度止まって落ちるまで窓辺の光に浮かんだ。

祝祭と粉塵に同じ動詞が使われている

花びらが空を流れていく場面にも、工事現場で粉塵が立ちこめる場面にも、同じ動詞が使われます。片方は祝祭で、もう片方は労働と汚れです。両立しているのが当たり前に見えるのは慣れのせいで、意味の側から眺めればかなり離れた二つを、一語が引き受けている。この幅がいつどうやって開いたのかをたどると、語が抽象化していく道筋がわりに素直に見えてきます。

もとは人間の所作を指す語でした。芸能史では、旋回とすり足を基調とする所作を舞、跳躍を基調とする所作を踊りとして区別するのが通例です。あてられる漢字も、飾りを手にして舞う人の姿をかたどった形に由来するとされ、動作の主体は人間に固定されている。語形の上でも、回転を意味する語と根を共有するのではないかという説が古くからあります。確定した話ではありませんが、少なくとも中心にあったのが直線的な移動ではなく、その場での旋回だったことは、初期の用法から読み取れます。

拡大の経路は、おそらく袖でした。舞う人の袖や領巾は、人の意志で動きながら人の身体ではない。そこから軽くて薄いものへ、さらに花びらや雪へ、最後に埃や灰へと主体が移っていきます。移動のたびに条件が一つずつ落ちている。人間であること、意図があること、美しいこと。残ったのは、重力に一時的に抗しながら不規則に動く、という運動の形だけです。意味の拡大とは、たいてい語が意味を増やすことではなく、条件を捨てていくことでした。捨てた分だけ、適用できる対象が増える。

同じことが、後項として使われた場合にも起きています。舞い上がる、舞い戻る、舞い込む。上がる・戻る・込むという方向の情報は生きているのに、前項が担っていたはずの旋回は、もうほとんど見えません。とりわけ最後のものは、思いがけないものが手元に届くという意味で、動きの形すら残っていない。前項が意味を失って接続の役だけを担うようになる過程は、日本語の複合動詞ではよく観察されるものです。さらに手前まで戻ると、行動一般を指す複合語の中にもこの語が入っていて、毎日使われているのに、そこに旋回が潜んでいると意識されることはまずない。

ふつう、この道をここまで進んだ語は摩耗します。そして実際、摩耗しています。花吹雪が舞う、雪が舞う、木の葉が舞う。最後の条件まで削り落とされた側では、この動詞はほとんど情報を運んでいない。ただ、拡大の途中の段階は手つかずのまま残っています。粉、灰、紙片、羽毛、干したままの洗濯物。意図がなく、美しくもなく、しかし軽い。この帯にはまだ手垢がついていない。使うときの判断は、その語が今どの段階にあるかを見ることに尽きます。祝祭的な素材と組み合わせるなら削り切られた側だと自覚して一作に一度に絞り、生活の素材と組むなら、上へ向かうのか水平に流れるのか一度止まってから落ちるのかを場面の側で補ってやる。捨てられた条件を必要な分だけ拾い直すのが、摩耗した語を扱う手つきです。

文: hakadoru.ai 編集部

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