まあまあ

【まあまあ】副詞

使い分けの視点

「そこそこ」「まずまず」「悪くない程度に」は中間以上の評価ですが、期待値で温度が変わります。「なかなか」は予想を上回る感心、「ほどほどに」は過剰を避ける制限です。「並程度に」「及第点で」は基準を明示し、「それなりに」は条件内での妥当性を認めます。「ぼちぼち」は地域・世代を帯びる口語として使います。

同義語

同品詞の類義語

そこそこcolloquial
ほどほどにcolloquial
なかなかcolloquial
まずまず

類義句

同品詞の慣用的言い換え

それなりにcolloquial
並程度に
及第点で

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

ぼちぼちcolloquial
そこはかとなく文芸的
悪くない程度に

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

ぼかした評価は身体で答え合わせするエッセイ関連

例文: 生徒が中間評価を返したあと視線を逃し、ぼかした評価は身体で答え合わせする形で、落胆が読者へ伝わった。

答えない返答の設計——評価をぼかす四拍の使い道

「試験、どうだった」「まあまあ」。この返答が運ぶ情報は、点数についてはほぼゼロです。ところが会話文としては一級品として働くことがある。運んでいるのが点数の情報ではなく、答えたくない、あるいは言語化する熱がない、という話者の構えの情報だからです。質問に答えない返答は、答える返答より多くを語ることがある——会話文の設計では、この逆転を道具として使えます。

この四拍には大きく二つの顔があります。ひとつは程度の評価。「まあまあの出来」「味はまあまあ」。もうひとつはなだめの間投詞。「まあまあ、そう怒らずに」。同じ語形ですが、場面の中で担う仕事はまったく別で、前者は評価軸の上の中庸を指し、後者は場の温度を下げる動作をします。しかも前者の指す位置は固定されていません。謙遜として使えば実際は上出来の含みになり、落胆を隠して使えば期待外れの婉曲になる。文脈がなければ値の定まらない、振れ幅の大きい評価語です。

二つの顔が同じ場面に居合わせると、読者は一瞬つまずきます。言い争う二人を鎮めた人物が、その直後に料理の出来を尋ねられて同じ四拍で応じる。書いている側には別の語のつもりでも、紙の上には同じ字が二度並ぶだけです。台詞は音の情報を持ちませんから、伸ばし方も速度も読者には届きません。対処は単純で、どちらか一方を別の形に振ります。鎮めるほうは掌を下げる身振りへ移し、評価のほうは別の語に替える。逆に、意図して二つを続けて置く手もあります。場を収めた口調のまま採点まで済ませてしまう人物が立ち上がり、その人が何にでも同じ温度で応じることが一場面で伝わる。事故になるのは、書き手が二つの用法を無自覚に同じ引き出しへ入れているときだけです。

語形にも仕掛けがあります。単独の「まあ」は譲歩の一拍置きですが、重ねると意味が変わる。同じ音を重ねる語形成を畳語と呼びますが、これは日本語で程度や反復を丸く均す働きをすることが多く、この語もその例で、重ねられた途端に「可も不可もない中間」という帯を指すようになります。さらに口頭では「まあまあまあまあ」と四連、六連に伸びて、相手の発話に割り込みながら場を鎮める専用の道具になる。文字にすると間延びして見えるのに、音声では増やすほど制圧力が上がるという、書き言葉と話し言葉の面白いねじれがあります。

振れ幅の大きさは、そのまま会話文での使いどころになります。この語で答える人物について、読者には三通りの読みが同時に立ち上がる。期待を下回ったのか、話したくないだけなのか、そもそも期待していなかったのか。直後の描写——視線の逃げ、箸の止まり、話題の変え方——が、どの読みが正しかったかを確定します。ぼかした返答を先に置き、身体の描写で答え合わせをする二段構えです。感情を直接書かずに済む、燃費のよい含みの装置と言えます。逆に、地の文の語り手がこの評価語を使うと、評価軸そのものが緩んで文章の締まりが失われる。台詞と、台詞に近い内心描写の専用品と割り切るのが安全でしょう。

答え合わせを相手に肩代わりさせる手もあります。何がまあまあなの、と聞き返させる。ぼかされた側が納得しなかったという事実が、そこで場に残ります。問い直しを受けた人物が言い直せば会話は一段進み、黙って話題を変えれば、変えたこと自体が二人の距離になる。どちらに転んでも場面は動くので、聞き返しは安い投資です。ただし、誰にでも放たせられる矢ではありません。返答をそのまま受け取る間柄と、受け取らずに問い直せる間柄は別のものです。二の矢を許すかどうかを決めることは、その場に立つ二人の距離を宣言することでもあります。表記の選択も効きます。四拍のうち二つの母音を小書きにすれば声は軽くなり、片仮名で置けば台詞から体温が抜けて、揶揄の色が差す。どの形を誰に使わせるかを最初に決めておけば、口調の説明を地の文から一行減らせます。

なだめの用法は、仲裁者の立ち位置を一語で確立します。両手を軽く下げる例の身振りが自動的に付いてくるほど、型として完成している。完成しているがゆえに、陳腐化も早い用法です。対処は二方向あります。型どおりに使って、事なかれ主義の凡庸な人物をあえて描く。あるいは型を外す——なだめるべき場面で誰もこの語を言わないことで、仲裁者の不在と緊張の持続を読者に感じさせる。型は、従うか外すかの二択で初めて道具になります。ぼかす語も、なだめる語も、設計して置かれた瞬間から、ぼんくらな語ではなくなるのです。

文: hakadoru.ai 編集部

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