絶対

【ぜったい】副詞

使い分けの視点

確信、意志、拒絶を強める語群です。「断じて」「金輪際」は否定と結びつく硬い決意、「きっと」は希望を残す見込みに向きます。強意は反復すると摩耗するため、人物ごとの使用間隔を空け、最も重要な場面へ温存します。

同義語

同品詞の類義語

きっと
間違いなく
断じて文芸的
確実に

類義句

同品詞の慣用的言い換え

何があってもcolloquial
天地神明にかけて文芸的
命にかけて文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

万に一つも文芸的
金輪際文芸的
誓って文芸的

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

絶対に戻るエッセイ関連

例文: 操縦士は絶対に戻ると一度だけ告げ、通信を切って嵐へ入った。

隣に何が来るかを数える——強意語が摩耗していく速度について

語の使用頻度を数えると、上位のごく少数が全体の大きな部分を占め、下から先は膨大な低頻度語が長い尾を引きます。Zipf の法則として知られる分布の形です。ただ、順位表そのものを眺めても、語の性格はほとんど分かりません。分かってくるのは、その語の隣に何が来るかを数え始めたときです。前後一語、二語を並べていくと、順位表では見えなかった輪郭が出てくる。「絶対」は、その輪郭が二つに割れて見える語のひとつです。

割れる理由ははっきりしています。表記が同じまま、まったく違う分布を持つ二つの用法が同居しているからです。一方は名詞・語基としての用法で、後続に漢語が来る。絶対値、絶対君主、絶対的、絶対評価。この層では前後がほぼ漢語で固まり、文章のジャンルも数学・政治・教育に偏ります。もう一方は副詞用法で、後続は述語です。ここでは前後に和語と会話的な要素が集まり、ジャンルの偏りは逆向きになる。同じ文字列でありながら、共起の顔ぶれに重なりがほとんどない。形態素解析器がこの語の品詞をときどき取り違えるのも、この二重性が原因です。

副詞用法のほうには、もう一段の非対称があります。「絶対に許さない」「絶対にあり得ない」のように否定を伴う型と、「絶対行く」「絶対勝てる」のように肯定の意志・確信を伴う型。もともとは否定と組む強調だったという説明をよく見かけます。ただ、これをどこまで信じるかで一度立ち止まりました。手元で数えられるのは現代の書き言葉が中心で、過去数十年の話し言葉の分布を実感として持っているわけではないからです。確実に言えるのは、現在の書かれた会話文では肯定の型が珍しくないこと、そして肯定の型のほうが「に」を落としやすいこと——助詞の脱落は、その用法が口語側に深く沈んでいる指標になります。

共起を数えるときの窓幅も、ここでは問題になります。前後一語、二語という機械的な窓は、日本語の否定を取り逃がしやすい。否定は述語の末尾に現れるので、許さない のように述語が短ければ窓に収まりますが、そんなことをするはずがない と伸びた途端、否定は窓の外へ出てしまう。近接頻度だけを見ていると、この語が否定と組む割合を実際より低く見積もることになります。係り受けを辿って、この副詞がどの述語に掛かっているかを特定してから数える手順が要る。英語向けに組まれた計量の手続きを日本語へそのまま持ち込むと躓くのは、たいていこの一点です。窓を広げれば解決するわけでもなく、広げるほど無関係な語も一緒に入ってきます。

摩耗そのものについても、分布の側から言えることがあります。文法化を扱う研究では、使用頻度の高い形式ほど音形が縮み、意味が薄まっていくという観察が繰り返し報告されてきました。この語の副詞用法で助詞が落ちるのは、その縮みの一例と読めます。絶対に行く が 絶対行く になれば、ぜ・っ・た・い・に の五拍が ぜ・っ・た・い の四拍へ、一拍ぶん短くなる。短い形は言いやすく、言いやすい形はさらに頻度を上げ、頻度が上がれば意味はまた薄くなる。強調語が数十年おきに入れ替わっていくのは、この輪が回り続けるからでしょう。数えることの利点は、語がこの輪のどのあたりにいるかを、印象ではなく数字で言えるところにあります。

小説の原稿で数えると、この語は会話文に強く偏ります。では地の文に出てきたときに何が起きるか。三人称の語りであっても、そこだけ人物の声が地の文に染み出したように読める。語り手が中立の位置から降りて、人物の内側の温度を借りる瞬間になります。ここで「話し言葉だから地の文には使うな」と言いたくなりますが、それは観察ではなく規範です。一人称の語りでは地の文と会話文の境界がもともと薄く、この語が地の文にあること自体は何の問題も起こしません。

残るのは、頻度のほうの問題です。強意語には摩耗があります。同じ語り手が三度、四度と「絶対」を口にすると、読者の側で目盛りが縮む。四度目の「絶対」は一度目より弱く読まれる。これは意味の問題ではなく分布の問題なので、対処も分布で行えます。原稿を検索して出現位置を並べ、間隔が詰まっている箇所を探す。近接して二つ出ていたら、片方を別の確信の言い方に振り替えるか、そもそも強調をやめる。使用回数の上限を決めるのではなく、最短間隔のほうを管理する——数えて分かるのは、たいていそちら側です。

文: hakadoru.ai 編集部

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