氷のような

【こおりのような】形容詞句

使い分けの視点

冷たさだけでなく、透明さ、硬さ、脆さ、澄明さも選べます。「鋭い冷気」は環境、「凍てつく沈黙」は場の緊張、「鋼のように冷たい」は人物の拒絶へ向きます。手垢のついた冷感比喩を避けたいときは、押せば割れる硬さや、いずれ消える性質へ焦点を移します。

同義語

同品詞の類義語

凍えた
霜めいた文芸的
冷凍庫みたいなcolloquial
凍土めく文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

心まで凍らせるような文芸的
刃物のように冷たい文芸的
息さえ凍る文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

雪解け水のような文芸的
鋼のように冷たい文芸的
石のように硬く冷たい

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

冷ややかに
凍りつくように文芸的
ぞくりとcolloquial

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

心を凍らせる文芸的
息を白く曇らせる
骨まで沁みる文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

凍てつく沈黙文芸的
鋭い冷気

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

息を詰めるほど冷たい文芸的
凍てついて棘を持つような文芸的
底冷えする

関連語を探す

語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

冴えるエッセイ関連

例文: 夜気が冷えるほど感覚は冴えるが、疲労までは消えなかった。

にすいの一族——冷たさばかりが選ばれてしまう理由

部首の一覧を眺めていて、冫の欄で手が止まったことがあります。にすい。点が二つ。冷、凍、凝、冴、凛、冽。並べてみると、この部首を持つ字はほとんどが温度に関わる語です。ここに寒を加えたくなりますが、あの字が抱える点二つは字形の一部で、部首は宀のほう——温度の字がすべてこの欄に集まるわけではありません。もともと冫は氷そのものを表す字で、のちに水を添えた形が作られ、それが今の字形へ落ち着いたと説明されます。つまり漢字の体系の側では、この物質はまず温度として分類され、温度の語族の親のような位置に据えられている。部首とは分類の道具ですから、分類の結果がそのまま意味の傾きになって残っている。

和語のほうも似た経路をたどります。「こほり」は動詞「こほる」の名詞形と見るのが一般的で、凍るという状態変化が先にあって、その結果生じた物に名がついた。名詞のほうが後から来ている。ただし古い文献には「ひ」という別の語形も残っていて、氷魚や氷室といった複合語の中に化石のように保存されています。二つの系統があったらしい、というところまでは言えても、どちらが古いか、どう交替したのかを断定できるほどの材料はありません。ここは複数の説があるとだけ書いておきます。

引っかかるのは、この物質が持つ属性の多さに対して、比喩が選ぶ属性が異様に偏っていることです。透明である、硬い、割れる、滑る、重さのわりに水に浮く、そして放っておけば消える。どれも目立つ性質なのに、比喩として立ち上がるのはほぼ冷たさ一つです。字源をたどれば、冫の一族が温度に寄っている以上そうなるのだと言えそうですが、この説明はすぐに崩れます。和語の「こほる」も温度由来なのですから、漢字の影響をわざわざ持ち出す必要がない。二つの体系が独立に同じ偏りを示しているのなら、原因は文字体系ではなく、もっと手前にあることになります。

おそらく、触れた瞬間に返ってくる感覚の速さです。透明さも硬さも、見て確かめる性質で、確かめるには視線を留める時間が要る。冷たさだけは接触と同時に、しかも痛みに近い形で届きます。比喩は感覚の速さを利用しますから、最も速い属性が選ばれる。だからこの句は、冷たいという語を修飾するとき、論理的にはほとんど同語反復に近いのに、まだ死んでいません。速さを二重に重ねているだけで情報は増えていないのに、効いてしまう。効いてしまうことと、良い比喩であることは別ですが。

とはいえ、重ねるだけの用法は繰り返せば摩耗します。抜け道は、偏りから外れた属性を拾うことです。冫の一族の中に冴という字があります。冷たさが澄明さへ、さらに技量や頭の働きの鋭さへ転じた語で、温度が知覚の質そのものに化けている。同じ物質から、明晰さや、脆さや、いずれ消えることを取り出せば、句は別の仕事を始めます。人物の視線をこの句で描くとき、そこにあるのが拒絶なのか、それとも一点の曇りもない判断力なのか、あるいは強く押せば割れる硬さなのか——選べる余地は、部首の中にすでに用意されています。

文: hakadoru.ai 編集部

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