【ほし】名詞

使い分けの視点

「星」は光である前に、位置によって意味を持つ点として扱えます。恒星や天体は科学的な距離を、灯火やしるべは地上から見る役割を強めます。きれいさだけで終えず、数、方角、昨日との配置の違いを場面に使います。

同義語

同品詞の類義語

恒星
天体
天の光文芸的
煌めき文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

夜天の砂金文芸的
天の粒文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

撒き散らされた米粒のような文芸的
針で穿った穴のような文芸的
遠い灯火のような文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

夜空に瞬くもの
闇夜を彩る光点文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

天の瞳文芸的
夜のしるべ文芸的
宇宙の鼓動文芸的

関連語を探す

語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

位置を持つ点エッセイ関連

例文: 位置を持つ点を三つ結ぶと、星は帰還路を示す印になった。

図星の星は空にない、という手がかりから

図星を指す、という言い方の星は、空の光ではなく的の中心に打たれた点のことだとされます。黒星、白星、星取表。勝敗の記録に並ぶ星も同じ系統で、天体とは関係がない。同じ一字が、天球に散る光点と、紙や板に打たれた印の両方を担っている。比喩が広がった結果だと片づけてしまえばそれまでですが、片づける前に字のほうを見ておきたい。

この系統は、もう少し先まで伸びています。捜査の現場で被疑者を指す言い方にも、この語が使われる。本ボシ、ホシが割れる。当てるべき一点、まだ定まっていない一点という抽象が、そのまま人に当てられているわけで、的の中心という原義から見れば無理のない延長です。注意しておきたいのは、ここでも視覚的な像が一切働いていないことでしょう。被疑者が光っているわけでも、小さいわけでもない。効いているのは、探索の対象が一点として想定されているという構造だけです。天体の側の像を借りずに使えるという点で、この系統は空からずいぶん遠くまで来ている。

字書の説明では、星の上部はもともと日ではなく、三つの日を並べた形だとされます。光る点が集まっている様子を写したもので、下の生は音を示す部分と考えられている。つまり字が作られた段階で、すでに「点の集まり」という抽象が組み込まれている。天体そのものの形ではなく、点として見えるという見え方のほうを写しているわけです。だとすると、的の中心への転用は比喩というより、同じ抽象をもう一度使い回しただけということになる。

和語のほうは事情が違います。ホシの語源には複数の説があり、決着していません。火に結びつける説、穂に結びつける説などが挙げられますが、いずれも決め手を欠く。語源が定まらない代わりに、和語として深く根を張っていることは語形から分かります。複合語になると連濁が起きるからです。一番星、ほうき星、流れ星、彦星——後ろに立つと濁ってボシになる。連濁は和語どうしの複合で起きる現象なので、この音の変化そのものが、ホシが借り物ではないことの証しになっている。一方で彗星や恒星のように漢語と組めば音読みに切り替わる。同じ一字が、濁る層と濁らない層を同時に持っている。

音読みの側も一枚岩ではありません。この字はセイとショウの二つの音を持っていて、明星をミョウジョウと読むときはショウ、メイセイと読むときはセイになります。前者は古い層に属する読み方で、仏典を通じて早くに入った語に多く残ると説明されます。同じ二字が二通りに読まれ、読みが変われば置かれる文脈まで変わる。近代以降に整えられた天文の術語のほうは、恒星、惑星、衛星と、ほぼセイで揃っています。制度が新しく作った語ほど、新しい層の音を使う。ここまでで、この一字は三つの層を同時に抱えていることになります。連濁を起こす和語の層、古い音読みの層、術語を作る音読みの層。層の数は、その字がどれだけ長く使い回されてきたかの目安にもなります。

順序を決めたくなりますが、決められないと認めておくのが正直なところです。点の意味が先で天体が後、とは言えない。むしろ天体を点として捉える見方が定着したあとで、印のほうへ広がったと考えるほうが自然にも思える。目星をつける、という言い方が和語の側にもあることを踏まえると、どちらが源かを判定する材料は足りません。決めにくいまま残るのは、この字が一貫して指してきたものの性質のほうです。小さくて、単独では意味を持たず、位置によって意味が決まるもの。星座は点と点の関係で読み、星取表も並びの位置で読む。個ではなく配置が意味を作るという一点で、両者は完全に一致している。反例になりそうなものも挙げておきます。宿や料理に付ける三つ星や五つ星は、位置ではなく個数で意味を作る。ただしそこでも、一つだけでは何も決まらず、いくつ並んだかが読まれている。単独では働かないという性質は、どの用法でも崩れていません。

夜空を書く場面に戻すと、これは使える性質です。星がきれいだった、と書けば、読者は光の質だけを受け取る。数と配置に触れると、書けることが増える。三つだけ残っている、東の低いところに一つ多い、昨日と同じ並びに見える——数えられる点であることを使うと、天体としての光より扱いが具体になります。字の来歴をたどって出てきたのは、結局この一点でした。星は光としてではなく、位置を持つ点として言語に入ってきている。

文: hakadoru.ai 編集部

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