打つ

【うつ】動詞

使い分けの視点

目的語によって、叩く、鳴らす、鍛える、脈動するなど意味が切り替わる。反復回数を明示すれば現場の緊張や時間を刻めるため、何が何へ当たるのかを具体化する。

同義語

同品詞の類義語

叩く
打撃する文芸的
殴打する文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

拳を当てる
ハンマーを振り下ろすcolloquial
撃ち鳴らす文芸的

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

鐘が鳴るような文芸的
波が岸を打つような文芸的
鉄を鍛えるような

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

どしんとcolloquial
強く
一心に文芸的

体言的言い換え

用言を体言に変換

打撃文芸的
一打文芸的
鼓動文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

胸を震わす文芸的
拳を叩きつける
衝撃を走らせる文芸的

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

鐘を三度打って時を進めるエッセイ関連

例文: 見張りは鐘を三度打って時を進めると、次の交代へ鍵を渡した。

二拍に集まる動作——「打つ」の共起を数える

用例カードを百枚集めたとして、そこに「太鼓を打つ」「釘を打つ」「電報を打つ」「注射を打つ」「手を打つ」が混じっていれば、単純な出現回数だけでは意味が見えません。「打つ」は「う・つ」の二拍という短い形に、多様な目的語と動作が集まる動詞です。計量するときは、語そのものの頻度に加え、直前の名詞や助詞を含むまとまりを数える必要があります。何を打つかを分ければ、物理的な打撃、通信、医療、合意などの用法群が現れます。

二語の並びを数える方法を二グラム、三語なら三グラムと呼びます。「鐘を打つ」と「胸を打つ」を別に集計すれば、同じ動詞でも具体と比喩の比率を見られる。ただし「胸を強く打った」のように副詞が挟まると、単純な隣接検索では漏れます。活用も「打った」「打てば」「打たない」と変わるため、見出し語へまとめる処理が要る。機械の集計結果は、何を同じ形として正規化したかによって変わります。

反復回数は場面のリズムに直結します。「鐘を打った」なら一回とも複数回とも決まりませんが、「三度打った」は離散的な回数を指定し、「打ち続けた」は終点を開いたままにする。「どん、どん、どん」と音を三つ書けば読者は三打を時間順に経験します。一方、「十回打った」と要約すれば回数は多くても読書時間は短い。作中の回数と、文字として提示される反復数を分けると、速度を調節できます。

人物ごとの分布も有効です。鍛冶師には鉄や槌との共起が集まり、事務員にはキーや文書との共起が集まるかもしれない。慣用的な「手を打つ」ばかり使う人物なら、問題を処理する態度が語彙の偏りとして見えます。ただし職業から用例を自動的に決めると類型化する。鍛冶師が一度だけ心を打たれ、事務員が杭を打つ場面を置けば、通常分布からの外れが出来事になります。平均から外れた一例は、物語では誤差でなく転機です。

推敲時には、各章の用例を並べ、目的語、具体か比喩か、回数表現、視点人物を表にするとよいでしょう。同じ三ページに五回現れれば、意図した反復か語彙の偏りかを判断できます。ただし、五回という数だけで多用とは決められません。章が千字か一万字かで密度が違い、会話中心か戦闘中心かでも期待値が変わるからです。語数あたりの割合を比べるなら、同じ人物や同じ種類の場面を母数にする必要があります。さらに一箇所へ集中した五回と、全編へ散った五回では読者の受ける反復感が違う。回数と配置は別に記録したい。目的語を省いた「打った」だけの例は、直前文から対象を復元して分類します。自動集計で未分類へ捨てると、緊迫場面の短文だけが分析から消えるおそれがあります。「叩く」「殴る」「鳴らす」へ替えるだけでなく、道具、接触面、結果を描いて動詞自体を省く選択もある。数える目的は多義語を平均化することではありません。二拍の器へ何を入れ、どこで同じ音を反復したかを見つけ、作品固有の打撃のリズムを整えることです。

文: hakadoru.ai 編集部

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