丈夫

【じょうぶ】形容動詞

使い分けの視点

現在の見た目の太さや強さだけではなく、将来の負荷に耐える性質を表します。嵐を越えた船、何年も使われた道具など、試練や壊れかけた出来事を証拠として添えます。人なら体調、物なら衝撃や天候など、何への耐性かを具体化します。

同義語

同品詞の類義語

健やかな文芸的
壊れにくいcolloquial
健康な
達者なcolloquial

類義句

同品詞の慣用的言い換え

病知らずのcolloquial
長持ちするcolloquial
持ちが良いcolloquial

直喩変換

「Xのような」「Xみたいに」形式の直喩

鉄壁めいた文芸的
樫のような文芸的
石垣のような文芸的

副詞的言い換え

情態副詞・形容詞の副詞的変換

元気にcolloquial
しっかりと
達者に文芸的

動詞的言い換え

形容詞・副詞を動詞句に変換

長持ちするcolloquial
へこたれないcolloquial
風邪ひとつひかないcolloquial

体言的言い換え

用言を体言に変換

体力
耐久性

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

ごつごつしたcolloquial
無病息災の文芸的
へこみにくいcolloquial

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

試練を証拠にするエッセイ関連

例文: 調査員は三度の洪水に耐えた欄干を示し、試練を証拠にすることで橋の強度を説明した。

試されていない事態について——傾向を述べる語の危うさ

祖母の家に、座面の革がすっかり艶を失った椅子が一脚あります。四十年ほど誰かが毎日腰を下ろし続けて、いまだに軋みひとつ立てない。これを丈夫な椅子だと言うとき、そこで述べられているのは何なのか。目の前で確かめられる事実は「まだ壊れていない」ということだけで、それ以上ではありません。にもかかわらず、この一語は明らかにそれ以上のことを言っている。ここが最初の引っかかりです。

哲学では、こうした性質を傾向性と呼びます。砂糖が水に溶けやすいという性質は、いま溶けている砂糖だけが持つのではない。棚の袋に入ったままの砂糖も、それを持っています。つまりこの種の述語は、現に起きていることではなく、条件が満たされたときに何が起きるかという条件文の束を指している。強い力を加えれば、湿気にさらせば、何度も曲げれば——そうした無数の仮定の下で、それでも壊れない。丈夫さとは、まだ試されていない事態についての主張なのです。

そこで手が止まります。試さなければ確かめられない性質を、なぜ人は平然と断定できるのか。実際の使われ方を見ると、根拠は過去の実績に置かれています。四十年壊れなかった椅子、一度も寝込まなかった子。しかし過去の記録は、条件文の束を保証しません。四十一年目に脚が折れる可能性は、論理としては何ひとつ排除されていない。この語を口にするたび、話し手は帰納の跳躍をひとつ踏んでいます。踏んでいる自覚はほとんどないまま。

程度副詞との相性も、少し考えると奇妙です。かなり丈夫、そこそこ丈夫、と段階をつけられる。傾向性が真か偽かの二値なら、この目盛りは何を刻んでいるのか。おそらく刻まれているのは、条件文が成り立つ範囲の広さです。どこまでの負荷まで壊れないか、その閾値が上下している。程度の表現は性質の濃さではなく、仮定の適用範囲を動かしている。そう考えると、この語は最初から量化された述語だったことになります。

自分の観察に異議を出しておきます。否定形を見ると、単なる予測とは違う顔が現れる。「壊れた」の否定は「壊れていない」で、これは状態の記述です。ところが「丈夫でない」は、壊れていることを意味しない。傷ひとつない新品を指してそう言うことができ、しかも矛盾していません。否定のスコープが状態ではなく傾向にかかっているからです。日常語がかなり精密に様相を扱っている、その証拠がここに残っている。

小説に置き換えると、扱いにくさの正体が見えてきます。傾向は画面に映らない。何も起きていない椅子は、ただの椅子として描写されるだけです。読者がその性質を受け取るのは、負荷がかかった一瞬だけ——大人が二人乗っても軋まなかった、というような。人物についても事情は同じで、打たれ強い性格を地の文で宣言しても、読者は帰納の材料を渡されていないので信じようがない。傾向を書くには、その傾向が試される場面をひとつ用意するほかありません。壊れかけて壊れなかった瞬間だけが、この語の証拠になる。

文: hakadoru.ai 編集部

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