はい

【はい】感動詞

使い分けの視点

「ええ」「うん」は同意や受領を柔らかく示し、後者ほどくだけます。「了解」「承知」は依頼内容の受領で、「かしこまりました」は接客的な敬意を伴います。「その通り」「おっしゃる通り」は命題への同意、「左様で」「うむ」は古風です。「ええまあ」は留保を含みます。

同義語

同品詞の類義語

ええ
うんcolloquial
了解
承知文芸的

類義句

同品詞の慣用的言い換え

その通り
左様で文芸的
かしこまりました文芸的

婉曲・強調変換

ニュアンスの増減(婉曲化・強調化)

ええまあcolloquial
もちろん
おっしゃる通り文芸的
うむ文芸的

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語釈エッセイと合わせて読む表現

下の語釈エッセイの論点とつながる言い換え・関連表現です。

受領と同意を分けるエッセイ関連

例文: 命令を聞いた合図は返しても賛成とは限らず、若い兵は受領と同意を分けて異議を述べた。

受け取ったという合図——応答の語は何に掛かっているのか

会議の録音を文字に起こしていると、短い応答の音がどれほど多いかに気づかされます。相手の話が切れるたびに、一拍分の音が挟まる。書き起こしの作業としては削ってよい部分ですが、削ってしまうと会話が別のものになる。ここで少し立ち止まりたくなります。その音の大半は、内容への同意ではありません。聞いている、という信号です。同意と受領は、論理的にはまったく違う仕事をしているはずです——それを日本語は、しばしば同じ一語で引き受けている。

分かりやすく現れるのが、否定を含む問いへの応答です。「まだ食べていないんですか」と訊かれて「はい、食べていません」と答える。同じやりとりを英語に置き換えると肯定と否定が入れ替わることは、よく指摘されます。原因を話者の思考のかたちに求める説明も見かけますが、そこまで話を広げなくても説明はつきそうです。応答の語が掛かっている先が違うだけだ、と考えれば足りる。一方は問いの中の命題そのものに真偽を返し、もう一方は、問いという発話全体に対して「そのとおり」と返す。否定がどこまで及ぶかというスコープの取り方が違う、それだけのことだと考えられています。

ただ、この整理には自分で異議を挟みたくなります。実際の会話では、「いいえ、食べてません」と答える人にも普通に出会う。規則がひとつに定まっていないなら、スコープの説明も足元が怪しい。しばらく考えて、それでも残るものがありました。もし応答の語が真偽値を返す装置なら、それ自体を疑問形にはできないはずです。ところが「はい?」は成立する。聞き取れなかったときに、肯定のための語がそのまま問い返しに転じる。真偽を運ぶ語には、この芸当はできません。受領の合図だからこそ、受け取り損ねたことの合図にも使い回せる。

もうひとつ、前提の扱いも引っかかったままです。「もう書類は出しましたか」に肯定で応じたとき、確定するのは提出の事実だけではない。書類があり、出すべきだった、という問いの側の前提も、そのまま座り込む。否定で返しても前提は残ります。つまりこの語は命題を閉じるのではなく、問いの土台ごと承認してしまう。歪んだ前提を含む問いに速く返事をした人が、あとで撤回に苦労するのは、命題ではなく土台に署名したからだと言えそうです。

そう考えると、会話文でこの応答を書くときに何が起きているかも見えてきます。この一語は情報を運びません。運ぶのは、直前に置かれた問いの形と、返答までの間です。相手が命題の真偽を尋ねたのか、依頼を差し出したのか、ただ名前を呼んだのか。書き手がそこを決めていないと、読者には同意なのか受領なのか判別できず、応答が空白のまま次の行へ流れていく。逆に言えば、承服していない人物にこの語を言わせることができる。受け取っただけの音を同意と読み違えるのは、読者ではなく、その場にいる相手のほうです。会話の食い違いを説明抜きで一拍のうちに仕込む方法として、これほど短い手はそう多くありません。

文: hakadoru.ai 編集部

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